EMF521R型シリーズは
電離箱線量計用の電位計です。
本シリーズはEMF520R/EMF521R/EMF522R/EMF523Rの4機種から選べ、電流上限はそれぞれ±2nA/±20nA/±200nA/±2000nAです。中心機種はEMF521R型で電離箱線量計と組み合わせてX線、γ線、電子線、陽子線、重粒子線の測定が可能です。
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- ■電荷発生装置についての詳細解説PDFを追加しました。(2021.7.28)
EMF521R型電位計に内臓する電荷発生装置の出力について、より詳細な測定結果を追加した解説PDFをアップしました。
この電荷発生装置を使用して電位計の点検を行う際の参考にしていただければと思います。なお電荷発生装置については1台ずつ僅かではありますが特性がありますので、性能についてはPDF内の測定例を保証するわけではありませんのでご了承ください。
- ■電荷発生装置についての詳細解説PDFを追加しました。(2021.7.28)
- NEW
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- ■2チャンネルリファレンスクラス電計位 EMF521R2型のカタログPDFを追加しました。
1チャンネル電位計EMF521R型の性能はそのままに2チャンネル化した最新型電位計です。
高圧も2チャンネルを独立して設定できます。
2チャンネル同時測定により日本医学物理学会の【標準計測法12】による相互校正が可能です。
測定データは標準付属のエクセルアドインで収集できます。
- ■2チャンネルリファレンスクラス電計位 EMF521R2型のカタログPDFを追加しました。
本製品(1Ch版EMF521R型)の概要を動画にまとめましたのでご覧ください。【再生時間:3分12秒】
特長
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国際水準を上回る高性能を実現
EMF521R型シリーズ電位計は放射線治療用電位計の国際水準を上回る性能を実現しました。「電位計ガイドライン」に適合しているだけでなく、従来のMレンジとLレンジの2レンジ分を単レンジでカバーできる性能や、電源をONした後10秒で測定を開始できる点が大変使いやすいと好評です。
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タッチ式カラー液晶表示器による快適な操作性
5インチのタッチ式カラー液晶表示器は大きく鮮明です。
さらにタッチした際に電子音が鳴り確実に操作ができて快適です。日本語と英語を切替えて表示可能なので外国の人にも使いやすい。画面が大きくても重さは約2.8kgとこれまでより一回り小形軽量です。 -
「電荷発生装置」を内蔵できます(オプション)
測定精度点検用の電荷発生装置(Output1と2)を内蔵できます。校正機関が用いる「電流ソース」に匹敵する高精度を実現しました。自分自身だけでなく他の電位計の点検にも使えて大変便利です。
概要
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レンジ切換不要の単レンジ式です。
電流・電荷の有効測定範囲は上限からその1/1000までをカバー。従来の電位計と比べ範囲を大幅に拡大できたことが最も大きな特長です。単レンジ式はレンジ切換が不要なためレンジの設定ミスがありません。
例えばEMF521R型を放射線治療で用いる場合、0.6cm3のファーマー形から0.02cm3前後の小容積の電離箱までレンジ切換せずに測定できます。さらに温度が変化してもゼロ点や測定値の変動が小さいため小容積電離箱でも再現性良く測定できます。最新の高性能部品を使用した電流積算方式を採用したことにより電離箱線量計が持つ広大な測定範囲を単レンジでカバーしています。
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2台連結すると2チャンネル電位計に
EMF521R型シリーズ電位計は2台以上連結して同期測定するための「同期端子」を標準装備しています。これを利用して2台連結すると「標準測定法12」で決められている相互校正が可能です。
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表示器について
表示器には明るく鮮明な5インチ800×480ドットのタッチ式カラー液晶表示器を採用し、日本語と英語を切換えて表示することができます。電離箱から出力される線量率に比例した電流を最大7.5桁で測定できます。
例えばEMF521R型の場合±0.001~±20000.000pAの範囲を測定できます。電流は毎秒1000回の速さでデジタル化され、内蔵されたコンピュータで電荷として積算されます。EMF521R型の場合、電荷は±0.00001nC~±20000.000μCの範囲を測定できます。測定された電流と電荷はあらかじめ登録された電離箱の校正定数[Gy/C]を用いて線量率[Gy/min]と積算線量[Gy]の単位に換算して表示できます。
線量の単位はGyの他R、C/kg、Sv、Gy・cmが設定でき、接頭辞としてはf、p、n、μ、m、k、Mを設定できます。線量率の時間設定は/sec、/min、/hourが設定可能です。測定値を表示する画面は右のように、電流・電荷・時間・高圧を大きく表示する「ホーム画面」と、接続された電離箱の種類や校正定数や高圧などの詳細な設定内容を同時に表示する「詳細ホーム画面」の2種類の画面から選べます。
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PCインターフェースについて
測定値は液晶表示器で表示できるだけでなく、RS232C・USB・Ethernetを用いた有線接続でPCと接続しPCでの表示や記録が可能です。なおこれに用いるPC用ソフトは本機の付属品としてUSBメモリに収めた物が標準で添付されています。その他、2ch測定にも対応可能なEXCELのアドインソフトをオプションでご購入頂けます。
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測定範囲について
下のグラフはEMF521R型の測定範囲を例として示しています。電荷のグラフは50秒測定における範囲を示しEMF521R型の場合、測定上限は20[mC]です。電流・電荷共に±両極性の測定が可能です。EMF520R型の測定範囲は上限・下限共にこのグラフの1/10、EMF522R型は10倍、EMF523R型は100倍の値となります。
温度特性の検査結果例
(EMF521Rシリーズでは下記の温度特性実測データを全製品に添付しています)
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ゼロ点変動の温度特性
グラフはEMF521R型の例です。
EMF520R型の変動はこのグラフの1/10~1/5程度です。ゼロ点変動には自動温度補償機能は働きません。 -
電流・電荷測定時の温度特性
(グラフはEMF521R型の例)全機種、最大定格入力の1/2の電流測定値の温度特性を取得。自動温度補償機能によって温度特性を5倍程度改善する事に成功しました。(仕様の±25ppm/℃以内を±5ppm/℃以内に)
電位計の仕様
No.3、10~17、20、25の各仕様項目において日本医学物理学会(JSMP)電位計ガイドラインの性能要件を<ガイドライン>と記述
No. | 型名 | EMF520R型 | EMF521R型 | EMF522R型 | EMF523R型 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 用途 | 低線量率測定用 | リニアックおよび X線診断用 |
陽子線・ 重粒子線用 |
大電流測定用 | ||
2 | 測定レンジ | 電流 | ±2nA 単レンジ | ±20nA 単レンジ | ±200nA 単レンジ | ±2μA 単レンジ | |
電荷 | ±20nC、±200nC、±2μC、±20μC、±200μC、±2mCの6桁自動切換 | ±200nC、±2μC、±20μC、±200μC、±2mC、±20mC の6桁自動切換 |
±2μC、±20μC、±200μC、±2mC、±20mC、±200mC の6桁自動切換 |
±20μC、±200μC、±2mC、±20mC、±200mC、±2C の6桁自動切換 |
|||
3 | 指示値の 有効範囲 (入力の定格範囲) 電荷は 50秒測定値 |
電流 | ±2pA ~ ±2nA(1000:1の範囲)※注1 <ガイドライン:10:1以上の範囲> |
±20pA ~ ±20nA(1000:1の範囲) <ガイドライン:10:1以上の範囲> |
±200pA ~ ±200nA(1000:1の範囲) <ガイドライン:10:1以上の範囲> |
±2nA ~ ±2μA(1000:1の範囲) <ガイドライン:10:1以上の範囲> |
|
電荷 | ±100pC ~ ±100nC(1000:1の範囲) <ガイドライン:10:1以上の範囲> |
±1nC ~ ±1000nC(1000:1の範囲) <ガイドライン:10:1以上の範囲> |
±10nC ~ ±10μC(1000:1の範囲) <ガイドライン:10:1以上の範囲> |
±100nC ~ ±100μC(1000:1の範囲) <ガイドライン:10:1以上の範囲> |
|||
4 | 最小 表示 分解能 |
電流 | 7.5桁 表示 |
0.0001pA | 0.001pA | 0.01pA | 0.0001nA |
6.5桁 表示 |
0.001pA | 0.01pA | 0.1pA | 0.001nA | |||
5.5桁 表示 |
0.01pA | 0.1pA | 1pA | 0.01nA | |||
電荷 | 7.5桁 表示 |
0.001pC | 0.00001nC | 0.0001nC | 0.001nC | ||
6.5桁 表示 |
0.01pC | 0.0001nC | 0.001nC | 0.01nC | |||
5.5桁 表示 |
0.0001nC | 0.001nC | 0.01nC | 0.0001μC | |||
5 | 測定・表示方式 | 電流積算方式による電流と電荷または線量率と積算線量の同時表示 | |||||
6 | 表示器 | 5インチタッチ式カラー液晶表示器(800×480ピクセル) | |||||
7 | 多チャンネル対応 | 同期端子を装備し2ch(2台)以上の同期測定が可能 | |||||
8 | 自動スタートストップ | 可能(スタート電流とストップ電流を独立して設定可能) | |||||
9 | 測定単位 | 電流 | A | ||||
電荷 | C | ||||||
線量率 | C/kg/sec、C/kg/min、C/kg/hour R/sec、R/min、R/hour Gy/sec、Gy/min、Gy/hour Gy・cm/sec、Gy・cm/min、Gy・cm/hour Sv/sec、Sv/min、Sv/hour | ||||||
積算線量 | C/kg R Gy Gy・cm Sv | ||||||
接頭語 | f p n μ m k M G | ||||||
10 | ゼロ点ドリフト | 最小定格入力電流に対し±0.1%以内 <ガイドライン:±0.1%以内> |
|||||
11 | ゼロ点ドリフト の温度係数 |
最小定格入力電流に対し±0.015%/℃以内 <ガイドライン:±0.015%/℃以内> |
|||||
12 | 応答の温度係数 | 最大定格入力電流の1/2を測定時に±0.0025%/℃以内 <ガイドライン:±0.015%/℃以内> |
|||||
13 | 非直線性 | 最大定格入力電流の1/2に対し全有効範囲で±0.1%以内 ※注1 <ガイドライン:±0.2%以内> |
|||||
14 | 長期安定性 | 電位計校正定数の変動が±0.1%/年以内 <ガイドライン:±0.2%/年以内> |
|||||
15 | 安定化時間 | 起動後15分~6時間の電位計校正定数の変動が±0.02%以内 <ガイドライン:±0.2%以内> |
|||||
16 | 繰返し性 | 最小定格入力電流を10回測定時の相対標準偏差が0.1%以内 <ガイドライン:0.1%以内> |
|||||
17 | 応答時間 | 電流測定の90%応答時間が0.2~1秒以内 <ガイドライン:3秒以内> |
|||||
18 | 電流測定回路時定数 | 0.02秒 または 0.1秒 | |||||
19 | 電流測定値平均時間 | 0.1秒、0.2秒、0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、20秒 | |||||
20 | 測定時間表示 | 0.1秒 ~ 999999.9秒 基準振動子確度は50ppm以内 <ガイドライン:時間表示分解能0.5秒 基準振動子確度100ppm> |
|||||
21 | 測定値更新速度 | 0.1秒 または 0.2秒 または 0.5秒 | |||||
22 | データ出力速度 | 0.1秒 または 0.2秒 または 0.5秒 | |||||
23 | ゼロ調整時間 | 50秒 または 200秒 | |||||
24 | 電離箱接続端子 | 三重同軸BNCコネクタ(2ラグ) | |||||
25 | 高圧電源 | 0V または ±1~500V ±50V以上において確度±1%以内 <ガイドライン:±1%以内> |
|||||
26 | 外部インターフェース | RS232C・USB・Ethernetを装備 (いずれかを経由してPCからコマンドで制御可能) |
|||||
27 | トリップ線量 | 積算線量にて設定可能 | |||||
28 | トリップリレー | 設定値の100%で動作するAと50%で動作するBを装備、専用のリレー接点出力端子を装備 | |||||
29 | 電源 / 消費電力 | AC100 ~ 240V(-12 ~ +10%)・50/60Hz / 10VA | |||||
30 | 使用時の環境 | 気温:10 ~ 40℃、湿度:10 ~ 80%(結露が無いこと)、 気圧:600 ~ 1200hPa |
|||||
31 | 大きさ / 重量 | 幅:210mm、奥行:230mm、高さ:115mm(折り畳み状態のレッグ寸法を含む) / 約2.8kg(本体のみ) | |||||
32 | 日本医学物理学会 電位計ガイドライン 適合状況 |
部分適合(有効測定範囲は4機種合わせると「フル適合」で、1機種では「部分適合」)。EMC試験を含めたすべての試験項目で適合を確認済。 | |||||
33 | 電位計分離校正への対応 | 医用原子力技術研究振興財団(ANTM)の「分離校正受け入れ電位計一覧」に掲載されています。 |
※注1:±20pA未満は±0.1%以内の不確かさで校正できません。
電離箱線量計の特長
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最も高性能な放射線検出器
放射線検出器の性能項目には①線量率直線性、②エネルギー特性、③再現性、④方向依存性、⑤温度特性、⑥感度、⑦ノイズレベル、⑧耐久性、などがありますが電離箱線量計は①②③④が非常に優れており、⑤⑥⑦⑧についても他の放射線検出器より優れています。
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測定範囲が広い
電離箱線量計の最大出力電流とノイズ電流の比は6.5~7.5桁に及びます。このため6桁に及ぶ広範囲の線量率を測定できます。電離箱線量計は空気の電離作用を利用した検出器ですがEMF521R型シリーズ電位計にはこれ以外に固体の電離作用を利用したダイアモンド検出器や半導体検出器も使えます。下記以外に使用できる検出器が数多くありますので詳しくは弊社へお問合せ下さい。
電離箱線量計の測定範囲
(DC300型はドイツIBA社製、その他はドイツPTW社製です)
7.5桁表示に設定したEMF521R型に下記の各種電離箱を接続して測定できる線量率と積算線量の範囲を示します。
7.5桁表示の場合最下位桁の表示値は変動することがあります。
※1 電離箱への照射が100kGyを超えると性能が劣化する恐れがあります。
-
■ TN30013型 0.6cm3 ファーマー形
放射線治療用の標準電離箱ですが診断用X線領域でも良好な特性を示します。
- 線量率:
- 0.1~60000.0mGy/min
- 積算線量:
- 0.001mGy~1000.000kGy※1
-
■ TN31013型 0.3cm3 指頭形
放射線に対する耐久性に優れた電離箱で、幅広い用途で使われている優れた性能の電離箱です。
- 線量率:
- 0.1~100000.0mGy/min
- 積算線量:
- 0.001mGy~1000.000kGy
-
■ TN23342型 0.02cm3 軟X線用
8~35keVの低エネルギーX線の測定に適した電離箱で空間分解能が優れています。
- 線量率:
- 0.001~1200.000Gy/min
- 積算線量:
- 0.01mGy~20000.00kGy※1
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■ DC300型 3cm3 指頭形
日本放射線技術学会が診断領域線量標準センターで使用している標準的な電離箱です。
- 線量率:
- 0.01~11000.00mGy/min
- 積算線量:
- 0.1μGy~1900.000kGy※1
-
■ TN23344型 0.2cm3 軟X線用
8~35keVの低エネルギーX線測定に適した電離箱でマンモグラフィの測定に用いられます。
- 線量率:
- 0.1~110000.00mGy/min
- 積算線量:
- 0.001mGy~1800.000kGy※1
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■ TN30009型 3.14cm3 CT用
アクリルファントム(直径10~32cm)に挿入して用い、DLPやCTDIの測定に用いられます。
- 線量率:
- 0.1~96000.0mGy・cm/min
- 積算線量:
- 0.001mGy・cm~1600.000kGy・cm※1
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■ TN34069型 6cm3 平行平板形
X線透視で写りにくい電極の薄い平行平板形。 IVRやマンモグラフィの測定に用いられます。
- 線量率:
- 0.01~5400.00mGy/min
- 積算線量:
- 0.1μGy~85000.00Gy
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■ TN23361型 30cm3 円筒形
散乱線の測定に適した電離箱です。眼球被ばくの測定にも用いられます。
- 線量率:
- 0.001~1000.000mGy/min
- 積算線量:
- 0.01μGy~17000.000Gy
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■ TN32005型 28cm3 球形
低線量率の直接線や散乱線の測定に用いられる球形で方向依存性の少ない電離箱です。
- 線量率:
- 0.001~1300.000mGy/min
- 積算線量:
- 0.01μGy~21000.00Gy
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■ TN32002型 1L / TN32003型 10L球形
低線量率の散乱線・漏洩線測定に適した高感度な電離箱でTN32003型は下記の約1/10です。
- 線量率:
- 0.001~420.000mGy/hour
- 積算線量:
- 0.001μGy~500.000Gy
電荷発生装置(オプション)について
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概要
リニアックなどのモニター線量計校正用の電離箱と電位計の校正方法については、永年電離箱と電位計の組み合わせを決めて校正する一体校正が行われてきました。しかし2018年度から電離箱と電位計を別々に校正する「分離校正」が選べるようになり、将来的にはほとんどの校正が分離校正へ移行すると言われています。
この分離校正では電位計に「1.0000」前後の「電位計校正定数kelec」が付与されるようになり、3年間隔で校正されることになりました。そのため3年間に亘りkelecが変化していないか日常的に確認しておくことが重要となり、この確認に用いるための装置が本機の電荷発生装置です。EMF521R型シリーズ電位計は電荷発生装置を組み込める事が特長となっています。この電荷発生装置には設定した電流[pA]と電荷[nC]を正確かつ安定に出力できることが求められます。そこで本機では校正機関や電位計メーカーが校正用に使用している電流ソースと同レベルの高い精度と安定性を実現しました。
これに加え本機の方式は出力電流[pA]と出力時間[sec]を設定し、それらの積を電荷[nC]として設定する方式を採用しています。この方式はリニアックで照射された電離箱から出力されるパルス電流の平均値と出力時間をそのまま設定できるので実際に近い状態で点検できる長所があります。
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操作は簡単
メニューから「電流ソース」を選び出力設定画面を開きます。この画面で出力電流[pA]と出力時間[sec]を設定すると、電流×時間で出力電荷[nC]が設定されます。希望する電流が2000pA以下の場合はOutput1の端子に専用ケーブルを接続しそれ以上はOutput2へ接続します。例えばOutput1に接続し出力電流に+1000.000pAを設定し出力時間に10.0secを設定すると+10.0000nCの出力電荷が設定されます。出力極性は±どちらも可能です。
Output1は0~±2000.000pAを、Output2は0~±20000.00pAを設定でき出力時間は0.1~1000.0secを設定できます。その結果Output1は0~±2000.0000nCを、Output2は0~±20000.000nCを設定できます。 -
他の電位計も点検できます。
専用ケーブルの反対側の端子をEMF521R型電位計のDetector端子へ接続するとEMF521R型自身の測定精度を点検することができます。
同様に他の電位計へ接続してその電位計の測定精度を点検することもできます。 -
出力電荷は極めて安定
当社で測定した出力電荷の揺らぎの具体例を右に示します。EMF521R型電位計の入力端子とOutput1とを付属の専用ケーブルで接続し19.8pAと198pAと1980pAを50秒間、つまり0.99nCと9.9nCと99nCを出力し、それを10回繰り返し測定した結果の相対標準偏差は0.00883%、0.00078%、0.00019%でした。このように電荷発生装置の出力は極めて安定しています。電荷発生装置にも電位計と同様の自動温度補償を採用したことで暖機の途中でも安定に出力できるようになりました。
リニアックのX線を照射したPTW社製TN30013型電離箱をEMF521R型電位計に接続し、繰り返し照射して測定した値と比べると、198pA以上での相対標準偏差はリニアックの1/10以下でした。このことから電荷発生装置の出力はリニアックのX線出力より安定していることが判ります。
電荷発生装置の仕様
電流制御方式 | 出力電流をフィードバック制御するアクティブ方式 |
---|---|
出力電流波形 | 直流 |
出力電流範囲 | Output1 ±0.000 ~ ±2000.000pA 最小分解能 約0.005pA |
Output2 ±0.00 ~ ±20000.00pA 最小分解能 約0.05pA | |
出力設定方式 | 出力時間と出力電流を設定するとそれらの積で出力電荷が設定される。 |
出力時間設定範囲 | 0.1秒 ~ 1000.0秒 |
出力電流設定範囲 | Output1 ±0.000 ~ ±2000.000pA |
Output2 ±0.00 ~ ±20000.00pA | |
出力電荷設定範囲 | Output1 ±0.00000 ~ ±2000.00000nC |
Output2 ±0.0000 ~ ±20000.0000nC | |
出力電流有効範囲 | Output1 ±20pA(最小定格電流) ~ ±2000pA(最大定格電流) |
Output2 ±200pA(最小定格電流) ~ ±20000pA(最大定格電流) | |
ゼロ点ドリフト | 最小定格電流に対し±0.1%以内 |
ゼロ点ドリフトの温度係数 | 最小定格電流に対し±0.015%/℃以内 |
出力電流の温度係数 | 最大定格電流の1/2を出力時に±0.0025%/℃以内 |
出力電流の非直線性 | 最大定格電流の1/2を基準に全有効範囲で±0.1%以内 |
出力電荷の時間非直線性 | 最大定格電流の1/2を出力時に10秒を基準に1~100秒で±0.01%以内 |
出力電荷の不確かさ (k=2・納入後1年以内) |
Output1 出力時間50秒で±1nC~±100nCにおいて0.29%以内 |
Output2 出力時間50秒で±10nC~±1000nCにおいて0.20%以内 | |
長期安定性 | ±0.1%/年以内 |
安定化時間 | 起動後1時間経過時を基準として、15分経過時と6時間経過時の最大定格電流の1/2の出力の差が±0.02%以内 |
繰返し性 | 最小定格電流を50秒出力させ電荷測定を10回繰り返した場合の相対標準偏差が0.01%以内 |
専用接続ケーブル | 三重同軸BNCコネクタ付き電離箱用延長ケーブル3m長(付属品) |
使用時の環境 | 気温:20 ~ 30℃ 湿度:10 ~ 80%(結露が無い事) 暖機時間:15分以上 |
<標準構成品>
- 電源ケーブル
- USBケーブル
- 日本語PC用ソフト
- エクセルのアドインソフト
- 検査成績書
- 取扱説明書
- ブロア(電離箱端子や延長ケーブル端子などに付いた埃を飛ばす道具)
- アルミケース(電位計本体と上記の付属品と電離箱用延長ケーブル、これに加え小形電離箱なら専用ケースに入れた状態で1~2個を一緒に収容できます。)
<オプション>
- 電荷発生装置(電位計へ接続用の3mケーブルを含む)
- イーサネットケーブル
- 同期ケーブル
- リレーケーブル
- 各種電離箱
- 電離箱用延長ケーブル(3・5・10・15・20・30mから選択可能)
- CT用ファントム(CTDI測定用直径32cm及び16cm・下記を参照)
- 電離箱支持具(支柱およびホルダ)
- 点検調整および当社X線照射施設による照射テスト
- 日本品質保証機構によるX線及びCs-137γ線による空中校正
- 医用原子力技術研究振興財団によるCo-60γ線による電離箱の水吸収線量校正・電位計校正(JCSS校正)
- ポニー工業株式会社によるCs-137γ線による空中校正
CT用ファントム
CTDIを測定するためのPTW社製のアクリル製ファントムで、胴体用と頭部用があり、頭部用は胴体用の中心部に収まる構造になっており軽量化が図られています。TN30009型CT用電離箱を差し込んで使います。
- EMF521R 型シリーズ電位計は日本製です。
国立研究開発法人産業技術総合研究所の受託研究および技術コンサルティングの成果を活用し弊社技術研究所で研究、開発、製造、検査を行っています。 - 記載された電離箱線量計はドイツPTW社およびドイツIBA社の製品で弊社はそれらの正規代理店です。
- 上記内容の一部は予告なく変更される場合があります。(2024年7月17日更新)