本器は5~200keVのX線を0.2keVごとに分割した光子数スペクトルや線量スペクトルを測定する装置です。
本製品は大阪大学医学部保健学科の松本政雄准教授からご指導をいただき開発しました。
EMF123型X線スペクトロメータは、
- EMF123-0型CdTe放射線検出器
- EMF123-1型コリメータセット
- EMF123-3型レスポンス補正ソフト
- EMF123-4型電動2軸ステージ
- EMF123-5型手動2軸ステージ
の5つから構成されています。
EMF123-0型CdTe放射線検出器
最新のショットキータイプのCdTeを真空中で電子冷却することにより、1%前後の優れたエネルギー分解能を達成しています。
本器はUSBケーブルでPCへ接続することで測定条件の設定やデータの転送を行うことができます。(このほか、専用のACアダプタからDC5Vケーブルの接続が必要です。)
EMF123-1型コリメータセット
CdTe検出器に入射するX線のフルエンス率が高い場合にパイルアップを防ぐための製品です。
X線管から出るX線の場合、1平方mmあたり毎秒0.1~1000万個のフルエンス率に達しますので、口径0.025mm~1.6mmの純タングステンコリメータを用いてX線束を絞り、CdTe検出器のカウント率を毎秒1万カウント以下に制限します。
測定には非常に精密な位置決めが必要なため、三脚へ固定する機能や、固定後にコリメータの口径を簡単に変更できる機能を備えています。さらに専用レーザーポインタにより正確な方向確認ができます。
EMF123-3型レスポンス補正ソフト
CdTe検出器で検出した生のスペクトルデータを補正し、正しい直接線スペクトルを求めるための和文ソフトです。 直接線はもちろん、カーボン散乱体から90度方向に散乱したX線スペクトルデータを基に直接線スペクトルを求める機能も備えています。
さらにスペクトルデータから照射線量・空気カーマ・1cm線量当量などの各種線量を計算し表示する機能も備えています。
左のグラフはX線管に100kVを印加した際に出たX線スペクトルを測定した例です。紫色の線が補正前のスペクトルで赤く塗りつぶされた部分が補正後のスペクトルを表します。
2010年8月よりEMF123-2型からEMF123-3型にバージョンアップし、補正できるエネルギーの上限がそれまでの150keVから200keVへ拡大されました。
EMF123-4型電動2軸ステージ
コリメータ方向角度の調整には0.02°以上の高い分解能が必要です。
カメラ三脚の雲台では精密な方向調整は困難ですが本器を用いると容易に行えます。
電動式のためX線操作室から遠隔操作が可能です。照射中に最大カウントレートを示す方向を探る事で正しい方向がすぐに見つかり、作業能率を飛躍的に高められます。
EMF123-5型手動2軸ステージ
上記2軸ステージの手動調整版です。